女子中高生夏の学校2023の報告書を公開します

 

女子中高生夏の学校2023(以下、夏学)は、国立女性教育会館にて8月5日から7日に開催されました。全国29都府県から98名の女子中高生が参加し,5名の学生企画委員、26名の大学生大学院生スタッフ(以下、TA)や、理工系分野の学会(男女共同参画学協会連絡会加盟団体)会員、大学、高校の教員、企業から研究者・技術者などが実行委員やプログラムスタッフとして200名以上集まり、一致団結のもとで三日間のサイエンスプログラムが執り行われました。

 4年ぶりの対面開催は、ポストコロナ時代の夏学の進化の幕開けにふさわしい盛り上がりを感じることが出来ました。報告の詳細は,下記をご覧ください。


2023年8月12日

女子中高生夏の学校2023実施報告書

            夏学2023実行委員長 稲城玲子

 女子中高生夏の学校2023(以下、夏学)は、国立女性教育会館にて8月5日から7日に開催されました。全国29都府県から98名の女子中高生が参加し,5名の学生企画委員、26名の大学生大学院生スタッフ(以下、TA)や、理工系分野の学会(男女共同参画学協会連絡会加盟団体)会員、大学、高校の教員、企業から研究者・技術者などが実行委員やプログラムスタッフとして200名以上集まり、一致団結のもとで三日間のサイエンスプログラムが執り行われました。

 4年ぶりの対面開催は、ポストコロナ時代の夏学の進化の幕開けにふさわしい盛り上がりを感じることが出来ました。

※夏学一日目

 生徒たちは20のグループに分かれて、自分たちの世話をしてくれる担当TAたちと初顔合わせをし、ご挨拶。まだ緊張の面持ちのなかで、と思いきや知り合ったばかりの仲間とあっという間に打ち解けて、笑顔でオリエンテーションを受けました。

 最初のサイエンスプログラム「キャリア講演」では、藤井輝夫さん(東京大学総長)のビデオレターから始まり、この夏学では多様な人と会話し、交流を深め、世界と繋がる豊かな未来を創造するようにエールを頂きました。

 田島理奈さん(田島理奈設計事務所)からは自分が興味があることに進み、自ら問題を提示し、それを解いていくといった人生設計の醍醐味をご講演いただきました。

 川久保佐記さん (株式会社東京証券取引所) は、理系選択の学生時代から社会人に至るまでの経歴を交えて、興味のあることは選択しても不安にはならないことや、進路において周りの理解を得ることの大切さについてお話いただきました。

 続く学生企画「集まれリケジョの森」「仲間と解く!サイエンスクイズ」では、グループ毎にTAの指導のもとで初めて出会う仲間たちとゲームやクイズを通してコミュニケーションを図り、新しい仲間作りに努めました。

 また夕食後の学生企画「talk.talk.talk!!」では、テーマとなる「居場所」を見つけるため、出身地別や、興味のある分野に別れ、グループ以外の仲間たちとの交流も図り、3日間を共に過ごす仲間たちとの親睦を深めました。自分の居場所を見つけるためには、人と対話し、自分を見つけ、さらに自分を深く知ることに繋がっていきます。多様な人と様々に繫がることの醍醐味が体験できる企画で、熱心な話し声が会場に響き渡っていました。

※夏学二日目

 当日は200名を越える大学・企業の研究者・技術員が、様々な企画を通して生徒たちに幅広い理工系の分野の研究の醍醐味を伝え、対話を通じて多様な人々と考え方を共有することを目的とした企画を実施しました。

 午前は15団体の理工系協力学会や企業による実験・実習が行われ、ミニ科学者に挑戦しました。午後からは37団体によるポスター展示が行われ、生徒たちは自由にポスター展示を見て周り、興味あるブースでは研究者・技術者から説明を受けて科学的知識を深めました。

 続く「進路・キャリア相談カフェ」では生徒たちは研究分野やテーマで分けられた19のブースを周り、研究者・技術者に個別の進路・キャリア相談を行い、専門家たちの体験や意見を参考に将来の自分のキャリアイメージを膨らませました。学生企画「夢を形に〜未来予想図を作ろう〜」では夏学での体験を元に自分の将来の展望、キャリアプランを作成しました。

 生徒たちは、実験・実習でのサイエンス体験やポスター展示等での研究者とのコミュニケーションを通じて理工系研究分野の多様性学び、新たな興味を発見し、自分の考えを発信・共有することで将来の夢を広げました。

※夏学三日目

 2日間のサイエンスプログラムを通して体験したり、得られた知識を盛り込んで「未来予想図」にまとめ、自分の将来のタイムラインを作成しました。それらは生徒同士で披露しあい、意見交換を行い、お互いにエールを送り合いました。もちろんTAや実行委員たちも、希望に溢れる将来プランに精一杯応援を送りました。

 その後の「花が咲く」では、TAのみなさんからのメッセージが伝えられ、修了証が手渡されました。最後に、実行委員長として“日常とは異なる夏学での体験・学びは将来の自分への自信に繋がり、新たな学びへと広がっていくでしょう。また将来どこかで会いましょう”とのエールを込めて閉会宣言を行いました。

 3日間と短い期間ながら、共同生活を通じて親しくなった仲間との別れを惜しみながら、皆、笑顔や涙で帰路につきました。夏学を通して多様な価値観を知り、進路を考えるきっかけとなり、今後の進路・キャリア、困難に直面したときに役立つことが期待されました。

 この夏学2023はポストコロナ時代の新しい夏学運営の基盤構築に大変意義深いものとなり、多くのご支援やご指導に支えられていることを深く感じております。

 重ねてこの度の温かいご支援にお礼申し上げると共に、受け継がれてきた夏学スピリットへの御支援、御教授の程をよろしくお願い申し上げます。